「鼻水が出ない・鼻が通っている」状態であっても、医療機関のファイバースコープ検査によって特定の病態が判明する事例は後を絶ちません。代表的な4大原因を掘り下げます。
1. 鼻水が出ない「隠れ副鼻腔炎(蓄膿症)」
副鼻腔炎といえば黄色い粘り気のある鼻水を連想しがちですが、副鼻腔炎で鼻声なのに鼻水が出ないケースは臨床現場で頻繁に確認されます。副鼻腔と鼻腔をつなぐ小さな孔(自然口)が炎症で塞がると、膿や粘液が副鼻腔内に閉じ込められ、鼻前部には流出してきません。結果として鼻呼吸の通り道は確保されたまま、声の響きを作る空洞(副鼻腔)だけが液体で満たされ、音の共鳴が失われて頑固な閉鼻声が生じます。
2. 自分の声が響く「耳管開放症」
耳と鼻をつなぐ「耳管」が開きっぱなしになる耳管開放症による鼻声の錯覚も極めて多い事例です。過度なダイエットによる耳管周囲の脂肪減少、自律神経の乱れ、脱水などが引き金となります。耳管が開いていると、自分の声が直接耳に響く「自声強調」や「呼吸音の聴取」が起こり、本人は「ひどい鼻声で喋っている」ような感覚に陥ります。他者から見ても、無意識に声を調節しようとして発声が不自然になり、鼻声のように聞こえるケースがあります。
3. 軟口蓋の筋力低下・形態異常
軟口蓋が鼻声の原因となるケースでは、口蓋垂(のどちんこ)周辺の筋肉群が正常に機能していません。加齢による筋肉の衰え、長時間のデスクワークや口呼吸による口周りの筋緊張低下、あるいは脳神経疾患に伴う軽微な麻痺が潜んでいることがあります。軟口蓋が口蓋帆張筋や口蓋帆挙筋によって持ち上がらないと、呼気圧が鼻腔へ逃げてしまい、締まりのない開鼻声が定着します。
4. アデノイド肥大や鼻中隔弯曲症
幼少期からのアデノイド肥大に伴う鼻声が成人に至っても残存している場合や、骨の歪みである鼻中隔弯曲症の症状によって気流の偏りが生じているケースもあります。鼻の片側は通っているため本人は鼻詰まりを自覚しにくいものの、声の共鳴バランスが恒常的に崩れている構造的要因です。