天本英世の知名度を決定づけたのが、1971年に放送を開始した特撮テレビドラマ『仮面ライダー』の死神博士役です。黒マントを翻し、冷酷非情でありながらどこか貴族的な優雅さを漂わせる怪演は、子どもたちを恐怖と熱狂の渦に巻き込みました。「子ども番組だからこそ、一切の手加減をせず本物の恐怖を見せる」という強い信念のもとで演じられた死神博士は、昭和特撮史に燦然と輝く不滅の悪役像を確立しました。
天本英世の活躍は特撮ヒーロー作品にとどまりません。日本映画黄金期を代表する名匠・岡本喜八監督の盟友として、『肉弾』『大菩薩峠』『殺人狂時代』など数多くの映画で唯一無二の存在感を発揮。長身を活かした怪奇的な役柄から知的な指導者役まで、幅広いキャラクターを演じ分けました。
また、ゴジラシリーズをはじめとする東宝特撮映画の常連としても知られています。『ゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大決闘』(1966年)や『キングコングの逆襲』(1967年)での怪演、さらには晩年の『ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃』(2001年)における伊佐佐嘉門役など、重厚な語り口で物語に圧倒的な説得力を与え続けました。