博物館明治村の神髄は、単なる展示物の陳列ではなく、「明治」という激動の近代化期に花開いた和洋折衷の空間そのものを体感できる点にあります。高度経済成長期の開発ラッシュによって取り壊しの危機に瀕していた貴重な近代建築を救うべく、1965年に開村して以来、動態保存を含む徹底した保存活動が続けられてきました。
村内を訪れる際、まず絶対に見逃せないのが「帝国ホテル中央玄関」(20世紀建築界の巨匠フランク・ロイド・ライト設計)です。1923年(大正12年)に完成した旧本館(通称・ライト館)の象徴的な玄関部分が移築されており、彫刻が施された大谷石と黄色いスクラッチタイル、計算し尽くされた幾何学的な光の演出は息をのむ美しさを誇ります。館内の喫茶室では、当時の設計意図を感じながら優雅な時間を過ごすことが可能です。
さらに、ゴシック様式の尖塔とステンドグラスが壮麗な「聖ザビエル天主堂」、白亜の木造洋風建築として名高い重要文化財「西郷從道邸」、現存最古級の木造郵便局舎である重要文化財「宇治山田郵便局舎」など、建築史上きわめて価値の高いマスターピースが1丁目から5丁目までの各エリアに点在しています。