アニメ版『ぼくらの』を語る上で避けて通れないのが、監督を務めた森田宏幸氏(代表作:『猫の恩返し』など)の公式ブログにおける発言です。アニメ業界でも前代未聞とされるこの出来事は、当時のファンコミュニティを大きく揺るがせました。
放送当時、森田監督は自身のブログ上で「アニメ版の監督である私は原作『ぼくらの』が嫌いです」という趣旨の告白を公表しました。さらに、「子供たちが理不尽に次々と命を落としていく物語の展開を、そのまま映像化することは倫理的に耐えられない」「アニメ版では監督独自の視点で子供たちを救う道を描き直す」といった主旨の意向を明かしたのです。
この発言は、原作の持つ乾いた虚無感や哲学的な死生観を愛していた読者層から猛烈な怒りを買いました。「嫌いならなぜ引き受けたのか」「原作者やファンへのリスペクトを欠いている」という批判が殺到し、作品自体の評価に先んじて制作姿勢そのものが炎上する事態となったのです。
ただし、原作者である鬼頭莫宏氏はこの改変について事前に承諾しており、「アニメはアニメとしての表現があってよい」「結末も含めて監督の自由に料理してほしい」という寛容なスタンスを示していました。原作者の公認があったとはいえ、作り手の思想が原作のテーマ性と真っ向から衝突した結果、生み出されたアニメ版は特異な歪みと熱量を抱えることになりました。