『すずらん』という作品の類稀な完成度を語る上で欠かせないのが、ヒロイン・萌の一代記を支えた三者三様のアンサンブルだ。少女期を演じたのは、当時子役として天才的な存在感を放っていた柊瑠美。無垢でありながら芯の強さを感じさせる彼女の演技が、物語の確固たる助走となった。
そして青年期から壮年期を遠野なぎこが熱情をもって駆け抜け、晩年の姿と全編のナレーションを日本映画界の名優・倍賞千恵子が包容力豊かに引き継いだ。この見事な世代交代のリレーによって、一人の女性が歩んだ数十年の歳月が、途切れることのない大河のような説得力を持って視聴者の胸に染み渡ったのである。