フリーザ戦のクライマックスで悟空が伝説の超サイヤ人へと覚醒して以降、原作コミックス終了に至るまで界王拳が使われることは一度もありませんでした。これほど便利なパワーアップ技を、なぜ併用しなかったのか。その決定的な理由は、両者の「気の性質の相反」と界王拳のデメリットと反動にあります。
超サイヤ人は、激しい怒りや興奮をトリガーとして変身する形態であり、全身から気が激しく溢れ出る不安定な状態を伴います。一方の界王拳は、針の穴に糸を通すような極限の集中力と、寸分の狂いもない気のコントロールを要求される技です。
もし感情が高ぶり気が荒れ狂っている超サイヤ人状態で界王拳を発動すれば、気の制御が完全に破綻し、自らの莫大なエネルギーに耐えきれず肉体が瞬時に爆発・自滅してしまうという設定が存在していました。つまり「使わなかった」のではなく、物理的に「使えば即死する禁忌の組み合わせ」だったのです。
※なお、テレビアニメオリジナルの「あの世一武道会編」パイクーハン戦において一度だけ「超界王拳」を使用するシーンがありますが、これは悟空がすでに「死人」であり、生身の肉体のような破滅的リスクを考慮しなくてよい特殊環境だったからこそ成立した特例描写と解釈されています。