初期の『クレヨンしんちゃん』が今なおカルト的な人気を誇る理由の一つに、尖りきった演出による「神回」と「トラウマ回」の存在があります。
テンポの良いギャグが炸裂する日常回はもちろんのこと、夏の恒例企画として放映されたホラー回は、子ども向けとは思えない本気の恐怖演出で視聴者を震撼させました。代表的なエピソードを挙げると枚挙に暇がありません。
夜中に勝手に髪が伸び動き出す「呪いのフランス人形だゾ」や、誰もいない幼稚園に閉じ込められる「恐怖の幼稚園だゾ」、さらに桜田ネネのストレス解消用ウサギのぬいぐるみが自我を持つ「殴られウサギシリーズ」など、大人ですら背筋が凍る演出は本郷みつる監督や水島努監督らの卓越した演出力によって生み出されたものです。こうした挑戦的なエピソードの幅広さこそが、作品に類稀な奥行きを与えていました。