歯茎を突き破るように現れる硬い組織の正体は、大きく分けて4つのパターンに分類されます。見た目や生じるタイミング、痛みの有無によって病態は明確に異なります。
第一に最も頻度が高いのが骨隆起(外骨症)です。これは過度な噛み合わせの圧力や日常的な歯ぎしり・食いしばり(ブラキシズム)の負荷に耐えるため、顎の骨が過剰に発達・増殖した状態を指します。骨そのものが盛り上がっているため非常に硬く、表面を覆う粘膜が引き伸ばされて薄くなることで、下にある骨の色が透けて白く見えます。
第二に挙げられるのが抜歯後の骨片露出および腐骨の排出です。親知らずなどを抜歯した直後から数週間後にかけて、歯を支えていた歯槽骨の一部が欠けたり、血流が途絶えて壊死した微小な骨(腐骨)が、生体の異物排出反応によって歯茎の外側に押し出されてくる現象です。
第三の原因は歯周病による歯槽骨吸収の進行です。重度の歯周病によって歯を支える土台である歯槽骨が破壊され、同時に歯肉の退縮(歯茎下がり)が進むと、本来は奥深くに隠れていた歯槽骨の辺縁部が口腔内に露出して白く見えることがあります。
「骨が露出しているのに痛くない」という状況に疑問を持つ声も多く聞かれます。骨隆起の場合は炎症を伴わない骨の単純な肥大であるため、神経を直接刺激せず無痛で経過するのが一般的です。また、抜歯後の骨片であっても、周囲の歯肉に急性炎症や感染が起きていなければ、舌で触れたときの異物感や軽度の擦れ感のみで、強い自発痛を感じないケースは珍しくありません。