ケンタのエピソードが描かれた時代は、日本プロサッカーリーグが開幕するよりも前の出来事である。当時はまだ「サッカー選手になって食べていく」という道が明確には確立されていなかった時代だ。
それでも夢をあきらめずにボールを蹴り続けた少年たちの姿を、さくらももこ先生は温かい眼差しで描き出した。後に長谷川健太氏が実業団を経てプロの舞台へ飛び立ち、日本代表にまで昇り詰めた軌跡は、当時の子供たちに大きな勇気を与えた。漫画のページに刻まれた小さな情熱は、やがて日本サッカー界全体が大きく飛躍していく時代の前哨戦でもあったのだ。