テレビドラマのフォーマットが多様化し、かつての2時間ドラマ枠が縮小した今だからこそ、山本みどりが体現していた「感情のリアリティ」の価値が際立つ。彼女の持ち味は、人間の弱さやエゴ、そして底知れぬ情念を、決して誇張せずリアルに提示できる点にあった。
善と悪の二元論では割り切れない人間の業を演じ切るその技量は、多くの脚本家や監督たちに刺激を与え続けた。過剰な演出に頼らずとも、立ち姿ひとつで画面の空気を一変させる力。それは日本の映像文化が最も脂の乗っていた時代に鍛え上げられた、本物の職人芸に他ならない。