過酷なスキャンダルの渦中にあって、白蓮の精神を支え続けたのが、東洋英和女学校時代からの無二の親友・村岡花子である。出自や境遇は異なりながらも「腹心の友」として結ばれた二人の友情は、スキャンダルによって世間が白蓮に冷たい視線を浴びせた時期にも決して揺らぐことはなかった。
NHK(日本放送協会)が手がけた連続テレビ小説『花子とアン』でも印象深く描かれたように、翻訳家として児童文学に光を灯した花子と、激情を短歌に刻んだ白蓮の交流は、出版・日本文学界においても特筆すべき豊かな実りをもたらした。互いの才能を認め合い、女性が自立して表現することの困難を分かち合った二人の絆は、激動の昭和を越えて終生変わることなく続いたのである。