大相撲の頂点に君臨する横綱ともなれば、化粧まわしのスケールも桁違いとなる。横綱は自身用だけでなく、土俵入りに従える「太刀持ち」と「露払い」の分を含めた「三つ揃え」と呼ばれる3本1セットの化粧廻しを新調しなければならない。
第73代横綱・照ノ富士春雄をはじめとする歴代横綱の三つ揃えは、意匠の統一感や格式の高さにおいて工芸品の頂点を極める。3本合計の制作費は優に1,000万円台後半から数千万円規模に達し、選りすぐりの名工たちが威信をかけて仕立て上げる。
近年では古典的な富士山や龍、虎といった吉祥文様だけでなく、現代アーティストとのコラボレーションや、誰もが知る有名漫画・アニメのキャラクターをあしらったポップな特注デザインも急増している。格式ある土俵に新風を吹き込むこうした自由な発想の特注品も、現代の化粧まわしシーンを語る上で欠かせない見どころだ。