走行中の車内で突然の体調不良に襲われた際、その場で即座に実行できる応急処置をいくつか把握しておくと、最悪の事態を回避しやすくなります。
最初に行いたいのが、吐き気止めとして名高い手のツボ「内関(ないかん)」の刺激です。手首の内側のしわから指3本分ほど肘に向かった、2本の筋の間にある窪みを、親指でやや強めに5秒程度押し込み、ゆっくり緩める動作を繰り返します。内関は乗り物酔いや胃の不快感、自律神経の興奮を落ち着かせる効果が高く、通勤電車の中でも周囲に気づかれずに実践できます。
同時に呼吸のリズムを整えることが極めて重要です。気持ち悪くなると無意識に呼吸が浅く速くなり、過換気状態を招きやすくなります。「4秒かけて鼻から吸い、8秒かけて口からゆっくり細く吐き出す」腹式呼吸を意識してください。息を吐き切ることで副交感神経が優位になり、暴走した心拍数と血圧を安定させる助けになります。
視線のコントロールも見逃せません。スマートフォンの画面を凝視していると、視覚情報と三半規管の揺れ情報にズレが生じ、乗り物酔いが急速に悪化します。スマホをすぐにポケットへしまい、進行方向の遠くの景色や、車内の動かない固定された一点(広告看板やドアの枠など)をぼんやり眺めるように視点を切り替えてください。
可能であれば、ネクタイを緩める、第一ボタンを外す、ベルトを一段階緩めるといった衣服の解放を行ってください。首回りや腹部の圧迫を取り除くだけで、血流の循環と呼吸の通りが劇的に改善します。あらかじめポケットに忍ばせておいたミント系タブレットを口に含む、清涼感のあるアロマオイルをハンカチに少量つけて嗅ぐといった嗅覚刺激も、胃のむかつきを瞬時にリセットする有効な手段です。