電気ポットを使い続けるうちに底面に現れる白い斑点やウロコ状の膜、触るとザラつく固形物は、一般に「カルキ汚れ」や「水垢」と呼ばれる無機物です。水道水には微量のカルシウム、マグネシウム、ケイ酸といったミネラル成分が溶け込んでいます。お湯を沸かす過程で水分のみが蒸発を繰り返すため、ミネラル分が極限まで濃縮され、熱によって結晶化して内壁やヒーター部に強固に固着します。
この結晶自体は人体に直接的な毒性を持つものではありません。しかし、堆積したミネラル層が断熱材のような役割を果たして熱伝導率を著しく低下させ、湯沸かしにかかる時間と消費電力を押し上げる要因になります。さらに、表面の凹凸が雑菌やバイオフィルムの付着基盤となり、電気ポットの臭いが取れない原因へと発展するケースが多発しています。水垢はアルカリ性の性質を持つため、中性洗剤や物理的なこすり洗いではびくともせず、酸の力で化学的に結合を解くアプローチが不可欠です。