アメリカの食の深淵に触れるなら、本格的なバーベキューを避けて通ることはできない。単に肉を焼くBBQとは異なり、本場のスタイルは数時間から十数時間かけて低塩分・低温でじっくりと燻製する極めて繊細な調理法だ。
テキサス州では牛ブリスケットの塩胡椒スモークが至高とされるのに対し、カンザスシティでは甘みのある濃厚なソースで豚肋肉を味わう。ノースカロライナ州では豚丸ごと一頭を酢ベースのソースでさっぱりと仕上げるなど、地域ごとのプライドとこだわりは凄まじい。地元のピットマスター(焼き手)たちが薪の種類や温度管理に注ぐ情熱は、まさに職人技そのものだ。