SNS上の眩しい発信から距離を置き、「丁寧な暮らしをやめた」と公言する元・実践者たちの手記や体験談には、生活を立て直すための貴重なヒントが詰まっています。
都内のIT企業で働く30代女性は、かつて休日ごとに保存食を仕込み、掃除機を使わずほうきと雑巾で床を磨く徹底した生活を送っていました。しかし、自著のブログや手記で明かした当時の心境は悲痛なものでした。「日曜の夜、びっしり並んだ作り置きタッパーを前に、達成感よりも『明日からまたこのノルマを消費しなければならない』という義務感で涙が出た」と振り返っています。
彼女が行き着いたのは、「丁寧な暮らしと貧乏・無理のない生活」を両立させる等身大の妥協でした。出汁パックや冷凍野菜を全面的に解禁し、高価な作家の器ではなく食洗機対応の丈夫な日常食器へとシフト。その結果、浮いた時間でゆっくり湯船に浸かり、好きな本を読む余裕が生まれたといいます。
手作りに固執するのをやめ、市販品やテクノロジーを味方につけることは、決して怠惰ではありません。自分を疲弊させる「偽りの丁寧さ」を手放すことこそが、本当の心の平穏を取り戻す契機となります。