東麻布の住宅街を歩くと、突如として現れる重厚な外観。それがこのホテルの第一印象だ。過度な装飾を排したファサードは、一見するとプライベートな邸宅やアトリエのようにも見える。しかし一歩足を踏み入れれば、そこには外部の喧騒から完全に切断された独自の小宇宙が広がっている。
プライバシーの徹底的な防護は、創業当初からの揺るぎないアイデンティティだ。非対面型のチェックインシステムや、他の宿泊客と顔を合わせずにフロアへ移動できる動線設計は、半世紀前の開業時点ですでに完成されていた。プライベート空間の絶対的保護を求める著名人やアーティストが、密かにこの場所を拠点として選んできた理由はここにある。