どんぎつね終了を語るうえで、視聴者の間で最も議論を呼んだのが、共演相手であった星野源と新垣結衣の電撃結婚(2021年5月)でした。どんぎつねシリーズ最大の魅力は、こたつでどん兵衛をすする孤独な男(星野源)と、健気で少し嫉妬深いキツネの化身(吉岡里帆)との間に流れる「もどかしい疑似恋愛の空気感」にありました。
しかし、星野源の私生活におけるゴールインは、この世界観の根幹を揺るがすことになります。視聴者側に「現実の配偶者の存在」が強く意識されるようになり、従来の甘酸っぱいやり取りや、吉岡里帆が上目遣いで迫るコミカルな演出を素直に楽しめないという空気感がSNS上で可視化され始めました。制作陣としても、現実の私生活に配慮しながら従来のトーン&マナーを維持することに限界を感じていたのは想像に難くありません。
さらに、タレント側のマネジメント環境の激変も見逃せません。吉岡里帆が長年所属していた芸能事務所「A-Team(エー・チーム)」は、2024年春に芸能業務の休止・事実上の解散を発表。吉岡里帆は同年4月に大手事務所「フラーム」へ電撃移籍しました。
CM契約そのものは2022年時点で満了していましたが、事務所の経営体制の揺らぎや移籍に伴う権利関係の整理、契約条件の見直しなどは、同キャラクターの「再登板」を阻む大きな要因となりました。フラーム移籍後の吉岡里帆は、映画や舞台、本格派ドラマへとシフトしており、特定の一社CMのイメージに固定されることを避けるマネジメント方針とも合致しています。