ジャンヌ・ダルク(Jeanne d'Arc)は、1412年頃、フランス東部ロレーヌ地方のドムレミ村の生い立ちを持ちます。父親のジャック・ダルクは比較的裕福な農民であり、母親のイザベル・ロメのもとで敬虔なカトリック信徒として育てられました。当時のフランスは、イングランド王国とその同盟者であるブルゴーニュ派によって国土の北部や主要都市を占領され、国家存亡の危機に瀕していました。
彼女の運命を大きく変えたのが、13歳前後に始まったとされる神の啓示と経緯です。ジャンヌ本人の裁判証言記録によると、「大天使ミカエル」「聖カタリナ」「聖マルガリータ」の声が光とともに現れ、「フランスを救い、王太子(ドーファン)をランスで戴冠させよ」という明確な命を受けたと語られています。
現代の医学や心理学の観点では、側頭葉てんかんや幻聴、極度の戦時ストレスによる心理反応など様々な仮説が議論されています。しかし重要なのは、彼女自身が揺るぎない確信を持ち、周囲の大人たちを圧倒する強い説得力と軍事的直感を備えていたという事実です。1429年、彼女は地方領主を説得して旅費と護衛を取り付け、王太子シャルルが滞在するシノン城へと向かいました。