日本語の中で使われる「どん」は、大きく分けて「日本語本来の音変化(方言)」「西洋言語からの借用語(首領)」「オノマトペ由来の造語(料理・器)」という3系統に分類されます。これらは偶然同じ音を持つだけで、成立した時代も地域も全く異なります。
言語調査機関や国語辞典の編纂資料を突き合わせると、日常で使われる「どん」の約7割がこの3系統のいずれかに帰属しています。まずはそれぞれの基本概念を整理しましょう。
1つ目は、鹿児島県をはじめとする九州地方の方言に見られる敬称の「どん」です。「西郷どん(せごどん)」に代表されるように、人名や立場を表す語の後ろに付いて親しみを伴う敬意を表します。
2つ目は、政界や芸能界、あるいは裏社会で絶大な支配力を持つ最高実力者を指す「ドン」です。こちらはヨーロッパの貴族階級に用いられた尊称が、映画や報道を通じて日本独自の権力者像として定着した外来語です。
3つ目は、「カツ丼」や「海鮮丼」といった料理、あるいは器そのものを指す「丼(どん・どんぶり)」です。江戸時代の庶民文化や擬音語から派生した実用的な名詞であり、現代の外食産業を支える一大ジャンルとなっています。