ふたりの関係が公に知られるきっかけとなったのは、週刊誌による東北地方での目撃報道だった。かつてテレビドラマや舞台で独特の存在感を放っていた名優・矢崎滋と、国民的歌手の都はるみ。意外な組み合わせに思えたが、ふたりはすでに芸能界の一線から身を退き、ビジネスホテルを拠点としながら穏やかな日常を共有していた。
近隣の住民が目撃したのは、派手さとは無縁のふたりの姿だ。地元のスーパーで食材を選び、近所を散歩する。そこにはスターの気取りなど微塵もなかった。入籍という法的な手続きを選ばず、あえて事実婚という距離感を保ち続ける背景には、互いに波乱万丈な人生を歩んできたからこその達観がある。
互いに干渉しすぎず、それでいて孤独ではない。人生の最終章を迎えるにあたり、無理のない自然体の関係を築くこと。それがふたりにとって最も心地よい着地点だったに違いない。