首の甲状腺の裏側に位置する米粒大の器官「副甲状腺」は、体内のカルシウム濃度を一定に保つ司令塔の役割を担っています。しかし、慢性腎臓病から二次性副甲状腺機能亢進症に至る経緯を辿ると、腎臓の機能不全がドミノ倒しのようにホルモンバランスを崩していく実態が浮き彫りになります。
正常な体内では、食事から摂取したリンは腎臓から尿中へと適切に排泄されます。ところが腎機能が低下すると排泄が追いつかず、血中にリンが蓄積(高リン血症)します。同時に、腎臓で行われる「活性型ビタミンD」の産生が低下するため、腸管からのカルシウム吸収が滞り、血液中のカルシウム濃度が低下します。この二次性副甲状腺機能亢進症の原因となる「低カルシウム」と「高リン」の異常シグナルを感知した副甲状腺は、血中カルシウム濃度を強引に引き上げようと、副甲状腺ホルモン(PTH)を過剰に分泌し続ける状態に陥るのです。
臨床上、頻繁に混同されるのが副甲状腺機能亢進症における原発性と二次性の違いです。原発性は副甲状腺自体にできた腺腫や過形成などの腫瘍が原因でPTHが暴走し「高カルシウム血症」を招くのに対し、二次性は腎機能低下など副甲状腺以外の臓器不全に対する代償反応として始まります。根本的な原因が副甲状腺そのものにあるのか、それとも腎臓などの機能低下にあるのかという出発点の相違が、治療戦略を大きく分ける決定打となります。