ラストシーンで叫ばれた「結婚しよう」という誓い。この劇的な幕引きの後、2人はどのような軌跡を辿ったのだろうか。月島雫と聖司の関係性については、単なるハッピーエンドの恋愛譚にとどまらない深い議論が今も続けられている。
スタジオジブリの制作メモや関係者の証言を紐解くと、2人の関係は甘い同棲生活ではなく、苛烈な自立の試練であったことが見えてくる。聖司は予定通りイタリアへ渡り、言葉の壁と厳しい職人の徒弟制度に直面する。一方の雫は東京で受験と執筆活動に向き合い、互いに手紙や時折の連絡だけで心をつなぐ遠距離生活が続いたとされる。
物語の核心は、2人が互いに寄りかかるのではなく、それぞれの足で立つことを条件に愛を誓い合った点にある。「お前の重荷になりたくない」という雫の思いと、「もっと強くなって迎えに来る」という聖司の覚悟。純粋な青春恋愛映画でありながら、現代の自立したパートナーシップの先駆けともいえる強固な信頼がそこには描かれていた。