庵野監督が現場監督から一歩引いたポジションを取るなか、ファンの視線は制作母体であるスタジオカラー最新情報へと注がれています。株式会社カラーの公式発表資料やクリエイターの活動報告からは、ポスト・シン・エヴァを見据えた組織改革と制作パイプラインの転換が如実に読み取れます。
注目すべきは、新劇場版シリーズにおいて副監督や監督を務め、庵野秀明の右腕として長年現場を牽引してきた鶴巻和哉監督新作の動向です。鶴巻監督をはじめ、前田真宏監督、摩砂雪氏といった実力派クリエイター陣は、エヴァの呪縛から解き放たれたことで、それぞれ独自のオリジナル企画や外部スタジオとの共同プロジェクトへと舵を切っています。
業界内におけるスタジオカラーの制作状況を整理すると、以下の3つの潮流が明確になっています。
第1に、3DCGと手描きアニメーションのハイブリッド技術をさらに進化させた「完全オリジナル作品の企画開発」です。第2に、『シン・ゴジラ』『シン・エヴァンゲリオン劇場版』『シン・ウルトラマン』『シン・仮面ライダー』の4作品が連携したシン・ジャパン・ヒーローズ・ユニバース(SJHU)に代表される、横断型ビジネスモデルの継続運用。そして第3に、国内外の若手アニメーターを登用した短編や実験的プロジェクトの推進です。
カラー社内において「エヴァンゲリオン」という看板は、日々の制作を圧迫する重圧から、制作スタジオの経営基盤を強固に支えるマスターピースへと昇華されました。エヴァ完結後の次回作として準備されている企画群は、庵野監督のワンマン体制から脱却した「スタジオ・クリエイティブの集合体」としての真価を問うフェーズへと移行しています。