経済界もこの巨大な地殻変動を見逃してはいない。かつて介護や終活が中心だったシニアビジネスは、いまや「自己投資」「ウェルビーイング」「エンターテインメント」を主軸にした成長産業へと変貌を遂げた。彼女たちは守りの預金者から、積極的な消費の担い手へとシフトしている。
とりわけヘルスケア産業の進化は目覚ましい。単なる疾病予防ではなく、パーソナルトレーニングジムや専門的なエイジングケア、歩行姿勢をAIで分析する最新ギアなど、高度な個別最適化サービスが次々と投入されている。「自分の体を自分でデザインする」という意識の定着が、高付加価値な市場を力強く牽引しているのだ。
旅行やカルチャー講座、さらには学び直しのリカレント教育に至るまで、市場の主役は徹底して「自分ファースト」を掲げる生活者たちだ。誰かの犠牲になるのではなく、自分の人生を豊かにするために投資する。その強い消費意欲が、停滞する日本経済に確かな刺激を与えている。