仕上げの段階で最も注力すべきなのが、仮面の影のつけ方です。仮面自体の陰影だけでなく、「仮面が素顔に落とす影(落ち影/キャストシャドウ)」を正確に描写することが、仮面を顔に馴染ませる最後のピースとなります。
仮面と顔の間にはわずかな隙間があるため、光源の位置に応じて、仮面の下端や目の穴の縁から肌の上へクッキリとした落ち影が落ちます。特に鼻筋の横や頬の上、目の周辺に落ちる影を適切に配置すると、仮面が肌から数ミリ浮いて存在している「空間の厚み」が克明に表現されます。
また、素材に応じた質感の塗り分けも重要です。
- 陶器・プラスチック(狐面など):表面が滑らかなため、ハイライトを小さく硬めに入れ、周囲の光を反射させます。
- 革(ペストマスクなど):エッジ部分に鈍いツヤを置き、使い込まれたシワや摩擦によるテカリを加えます。
- 布・レース(アイマスクなど):ハイライトは拡散させ、端処理のパイピングや繊維の質感をソフトブラシで表現します。
これらの光と影のコントラストを意識することで、キャラクターの表情を隠しながらも、視線を惹きつける重厚なビジュアルが完成します。