仮面ライダーのダイナミズムを真に具現化してきたのは、表舞台に出ることのないスーツアクターたちです。とりわけ、千葉真一が創設したジャパン・アクション・クラブ(JAC)の流れを汲むジャパンアクションエンタープライズ(JAE)の存在なくして、シリーズの継続はあり得ませんでした。
平成仮面ライダーシリーズで主役ライダーをほぼ一手に引き受け、「ミスター平成ライダー」と称された高岩成二をはじめとするアクターたちの手記や対談からは、華麗なアクションの代償としての壮絶な肉体的ダメージが克明に読み取れます。
仮面ライダーのマスク内部は、複眼部分のスリットや微小な通気孔しかなく、視界は極めて限定的です。足元の距離感や遠近感を掴むことすら困難な視界ゼロに近い状態で、彼らは採石場の岩場を駆け抜け、高所からコンクリートへダイブし、複雑なワイヤーアクションをこなします。着地時の衝撃を逃す「受け身」の技術がどれほど超一流であっても、数十キロに及ぶ装甲スーツを着込んでの衝撃は骨や関節に蓄積されます。
靭帯の断裂、肋骨の骨折、頚椎の損傷、そして極限の脱水症状。歴代のアクターたちは常に満身創痍でファインダーの前に立ち続けてきました。近年ではスーツ素材の軽量化や内部ベンチレーションの設計、衝撃吸収パッドのハイテク化が進んだものの、彼らの卓越したフィジカルと危険察知能力がなければ、無事故でのシリーズ完走は不可能であったことは紛れもない事実です。