水戸黄門の看板キャラクター「風車の弥七」の歴代キャストを語る上で欠かせないのは、それぞれの時代背景と演出の変化だ。初代・中谷一郎は戦後昭和の情念と哀愁を漂わせる演技で「義理と人情の忍者」を完成させた。対する二代目・内藤剛志は平成の洗練されたアクションとスピード感を前面に押し出し、現代的なヒーロー像へと昇華させている。
二人の足跡を比較すると、名場面の演出にも大きな変化が見られる。中谷時代は風車を投げる際の静寂と間(ま)を重視したサスペンス調の演出が目立ったが、内藤時代はカメラワークの進化を活かしたダイナミックなアクションが前面に出た。裏話として、中谷は指の角度ひとつで風車の飛び方を工夫し、内藤は自ら殺陣のアイデアを提案するなど、歴代キャストそれぞれのこだわりがキャラクターの命を繋いできたのだ。