富士山登山においては、どちらの県から登るかによってルートの特性や登山体験が大きく異なる。2013年に「富士山—信仰の対象と芸術の源泉」として世界文化遺産に登録された際も、両県にまたがる複数の登山道や神社、湖沼が一体となって構成資産に指定された。
主な登山ルートの特徴は以下の通りだ。
- 吉田ルート(山梨県側):登山者全体の半数以上が利用する最もポピュラーなルート。山小屋や救護所が充実しており、初心者やツアー客に選ばれやすい。
- 富士宮ルート(静岡県側):スタート地点の標高が約2,400mと最も高く、山頂までの最短距離を進むルート。岩場が多く傾斜は急だが、登頂までの所要時間が短い。
- 須走ルート・御殿場ルート(静岡県側):豊かな樹林帯や名物の「大砂走り」を体験できる、健脚者向けの自然豊かなルート。
世界遺産としての富士山は、単なる自然の山ではなく、古代からの山岳信仰や葛飾北斎らの浮世絵に代表される芸術の源泉として評価された。そのため、静岡・山梨両県に点在する浅間神社群や富士五湖、白糸ノ滝などが一体となって価値を形成している。