転換点は突然訪れた。2022年春、週刊誌の報道を発端とする日本映画界の性加害・ハラスメント告発の波が押し寄せる。園子温監督に対しても複数の女優から過去のワークショップやキャスティングを巡る性加害の疑いが報じられ、業界内外に巨大な衝撃が走った。
長年、カリスマ的な作家性や「狂気の芸術」という名目のもとに不問に付されてきた特権的な権力構造。その歪みが一気に噴出した瞬間だった。多くのプロジェクトが凍結し、監督は謝罪文の公表と同時に一部報道に対して法的措置をとる事態へと発展。映画界における「ミューズ」と「巨匠」という関係性そのものに対しても、厳しい倫理のメスが入ることとなった。