府中の森芸術劇場には、シューボックス型の純クラシック専用「ウィーンホール(522席)」と、演劇・伝統芸能向けの「ふるさとホール(520席)」が併設されています。その中で「どりーむホール」は、多様なジャンルを受け止める多目的ホールとして独自の音響設計が施されています。
音響工学の観点から見ると、どりーむホールの残響時間は可変残響幕の操作によって約1.4秒〜1.8秒(満席時)の範囲で調整可能です。この設計がもたらすジャンル別の音響特性は次の通りです。
吹奏楽・ブラスバンド:全国屈指の音響評価を得ています。東京都高等学校吹奏楽コンクール等の大舞台として長年重宝されており、金管楽器の強奏でも音が割れにくく、各パートの分離感と音圧が心地よく客席に届く設計です。
ポップス・ロック・PAライブ:大型スピーカーを通した拡声音響(PA)との相性が抜群です。過度な残響で低音が濁る(ブーミングを起こす)現象が抑えられており、ボーカルの歌詞の聞き取りやすさやドラム・ベースのアタック感が明瞭に伝わります。
オーケストラ・アコースティッククラシック:生音の豊かな余韻を最重視する専用ホール(サントリーホールや同館ウィーンホール等)と比較すると、ややドライ(明瞭度重視)な印象を受ける場合があります。しかし、全体として各楽器の定位感が掴みやすく、緻密なアンサンブルを正確に鑑賞できるクオリティを維持しています。