「博多の女」を生み出したのは、福岡市に本社を置く老舗菓子メーカー、株式会社二鶴堂だ。創業以来、「博多の情緒を菓子に託して贈る」という理念を掲げ、地域の文化や歴史を表現した商品づくりを徹底して追求してきた。
当時の日本の製菓・食品産業において、和菓子と洋菓子の境界線は明確であり、両者を組み合わせるアプローチは異例中の異例だった。しかし株式会社二鶴堂は、西洋文化を吸収しながら独自のリファインを重ねてきた博多っ子の心意気を菓子で表現しようと決意。バームクーヘンの生地の焼き加減と羊かんの煉り具合をミリ単位で調整し、日持ちと美味しさを両立させる独自の製造技術を確立した。この革新的な商品は、九州の製菓・食品産業全体に大きな衝撃を与え、その後のご当地スイーツ開発の模範となったのである。