ガビチョウの極めてユニークでありながら人間を混乱させる生態が、他種の鳴き声を完璧にコピーする「鳴き真似(物真似)」の能力です。森や庭先から「ホーホケキョ」という美しい声が聞こえてきたものの、どこか音量が不自然に大きく、直後に別の野鳥の声へ目まぐるしく変化した場合、それはウグイス本人ではなくガビチョウである可能性が極めて高いといえます。
ガビチョウがウグイスなどの鳴き真似を行う理由は、学習能力の高さと縄張り主張にあります。オスのガビチョウは、より複雑で多彩なレパートリーを持つほどメスへのアピール度が高まり、縄張り争いで有利になると考えられています。模倣の対象はウグイスにとどまらず、以下のように多岐にわたります。
- ウグイスのさえずり:「ホーホケキョ」の音程を正確に再現しつつ、本家より数段大きな音量で鳴き散らす。
- サンコウチョウやホトトギス:「ツキヒホシ(月日星)ホイホイホイ」といった特徴的な節回しをサンプリング。
- 人工音・環境音:地域の環境によっては、車のクラクション、携帯電話の着信音、電子式インターホンの呼び出し音まで真似ることが確認されています。
YouTubeなどのガビチョウの鳴き声の音声や動画を確認すると、その音色のバリエーションの多さに驚かされます。求愛や縄張り宣言のための「さえずり(複雑で華やかな声)」のほか、天敵を警戒する際や仲間同士で連絡を取り合う際には「グワッ、ギュルルル」といった濁った低い「地鳴き」を発し、状況に応じて声の種類と意味を明確に使い分けています。