事故を引き起こした決定的な技は、プロレスでは基本的かつポピュラーな丸め込み技である「前方回転エビ固め(サンセットフリップ)」でした。巨漢の高山選手が相手の背後から飛び越えるようにして回転し、相手を押し潰しながらフォールを狙う立体的な技です。
しかしこの時、高山選手の体が相手を十分に飛び越えきれず、頭部が相手の背中付近に引っかかるような形で直下からマットへ激突。自らの巨体(当時約125kg)の全体重が首一点に強くのしかかり、頸椎に極度の屈曲負荷がかかりました。
搬送先で下された診断は「頸髄完全損傷および変形性頸椎症」。首から下が麻痺し、自発呼吸すら困難な最重度の状態でした。長年にわたる過酷な激闘で蓄積していた首へのダメージと、リング上でのわずかなズレが重なった結果生じた、極めて痛ましい事故の真相でした。