話題沸騰中の 歌舞伎町ヤクザビルの現在と跡地|排除条例で消えた拠点の真相について、主要な情報をご紹介しています。

インターネット上の掲示板やSNSでは、「歌舞伎町のヤクザビルがなくなったのだから、街は安全になった」「再開発で歌舞伎町の治安は銀座並みになった」という論調が見受けられます。しかし、これは犯罪社会学の観点からも現場の実態からも、極めて危険な誤解と言わざるを得ません。

目に見える暴力団事務所の消滅は、裏社会の終焉を意味するのではなく、「組織犯罪の地下化と拡散」を招いたに過ぎません。指定暴力団の構成員数は警察庁の統計でも年々減少を続けていますが、その間隙を縫うように台頭したのが、いわゆる匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)や、暴走族・半グレ出身者が形成する不良集団です。彼らは伝統的なヤクザのような「代紋」や「組事務所」を持たず、テレグラムやシグナルなどの暗号化アプリを用いて流動的に離合集散を繰り返します。

かつてのヤクザビルに代わって彼らが拠点としているのは、歌舞伎町内や隣接する大久保・北新宿エリアのタワーマンションの一室、あるいはマンスリーマンションです。強固な掟や看板がない分、彼らの行動原理は目先の利益に特化しており、時に伝統的ヤクザよりも無軌道で凶暴な犯行に及ぶケースが散見されます。看板が外れたことで一般人には「誰が裏の人間なのか」を識別することが不可能になり、見えない地雷を踏むリスクはむしろ平成初期よりも高まっているという側面すら存在します。