華々しいキャリアの裏で、宮沢和史さんは度重なる重い病魔と戦い続けてきました。特に2010年代以降、その身体は過酷を極めていました。
2013年、宮沢さんは「頸椎症性神経根症(けいついしょうせいしんけいこんしょう)」を発症。首の骨の変形によって神経が圧迫され、激しい痛みや右手の痺れに襲われました。一時は日常生活にも支障をきたす状態となり、予定されていた全国ツアーの延期と手術・静養を余儀なくされます。
さらに2014年、結成25周年の節目にTHE BOOMは多くのファンに惜しまれつつ解散を発表。日本武道館でのラストライブを最後にバンドとしての歴史に幕を閉じました。解散の背景には、「メンバー全員が全力を出し切った」という達成感とともに、宮沢さん自身の心身の限界と真摯に向き合った結果がありました。
そして2016年、宮沢さんは「満足のいく歌唱ができない」「歌い手として納得のいくクオリティを届けられない」として、無期限の歌手活動休止を発表します。長年の酷使によって喉や全身のバランスが崩れ、表現者としてのプライドが妥協を許さなかったのです。
しかし、宮沢さんは立ち止まりませんでした。休止期間中は沖縄民謡の貴重な音源を後世に残すためのアーカイブ事業「沖縄民謡保存活動」に私財を投じて尽力し、後進アーティストのプロデュースや大学での客員教授としての講義など、音楽文化の保護に奔走しました。そして体調を万全に整えた2019年、待望の歌手活動復帰を果たしたのです。