こうした生産ラインの強靱化を強力に後押ししたのが、経済産業省による「サプライチェーン対策のための国内投資促進事業費補助金」をはじめとする産業政策だ。有事の際に国民の健康と社会機能を維持するための戦略的物資として、衛生用品製造業に対する設備投資支援が集中的に行われた。
ただし、行政の支援は単なる「ばらまき」にとどまらない。平時には民間市場で適正価格の製品を流通させつつ、緊急時には即座にフル稼働できるデュアルユース型の生産ライン維持が企業側に求められている。官民が密接に連携し、平常時の採算性と有事の機動力を両立させる新たな産業モデルがここに構築された。
日本の衛生用品製造業は、長年にわたり低収益なコモディティ産業として扱われてきた。しかし、公的支援をテコにした高付加価値化と自動化投資によって、高い付加価値と雇用を生み出す先端産業へとその立ち位置を劇的に変貌させている。