彼女自身の冠興行となった「ゆずポン祭」は、回を重ねるごとに動員を増やし、後楽園ホールを超満員の観客で埋め尽くした。男子レスラーや他団体のトップ選手をも巻き込んだこのフェスティバルは、まさに愛川ゆず季という稀代のスターだからこそ実現できた奇跡の空間だった。
しかし、彼女のレスラー人生はわずか約2年半という短い期間で幕を閉じる。両国国技館という大舞台で、彼女は現役生活にピリオドを打った。頸椎の負傷など肉体の限界もあったが、なにより「最高の状態のまま駆け抜ける」という彼女自身の美学の貫徹だった。
「やりきった」と涙を浮かべながら笑顔でリングを去った彼女の背中。それは、短期間で女子プロレス界の歴史を完全に書き換え、自らの存在証明を永遠に刻みつけた者の誇りに満ちていた。