黒尾の影響力は、自チームの音駒高校だけに留まりません。烏野高校のミドルブロッカー・月島蛍(つきしま けい)の覚醒において、黒尾は決定的な師匠役を果たしました。
夏に行われた東京遠征合宿の「第3体育館」で行われた自主練習。梟谷学園の木兎光太郎や赤葦京治とともに、黒尾はライバル校の後輩である月島に対し、徹底的にリードブロックの理論と技術を叩き込みました。
なぜ敵である月島を熱心に指導したのか。そこには「烏野と全国大会の舞台で、公式戦の“ゴミ捨て場の決戦”を実現させたい」という純粋な願いと、バレーボールを冷めた目で見ていた月島に「その瞬間」の熱狂を味わわせたいという、バレー愛に満ちた想いがありました。
黒尾から授かったブロックの極意は、春高予選の白鳥沢学園戦で月島が絶対王者・牛島若利を一枚でドシャットする伝説のシーンへと結実します。後輩の才能を開花させ、競技全体のレベルを引き上げる黒尾の度量の広さは、現在の協会勤務というキャリアにも直結する天性の資質でした。