クライン・レビン症候群に対する治療アプローチは、発作が起きている「急性期の対症療法」と、発作の頻度を抑える「維持期の再発予防」の2軸で進められます。
急性期において過度な眠気を打破するために中枢神経刺激薬(モダフィニルなど)が試みられることがありますが、過眠を短縮させる効果は限定的であり、かえって易怒性や不穏を悪化させるリスクもあります。そのため、発作中は無理に起こさず、静かな個室で安全を確保し、転倒や事故を防ぐ支持療法が基本となります。
一方、発作の再発予防として最も有効性が報告されているのが、気分安定薬である炭酸リチウムの投与です。リチウムの内服によって発作頻度の減少や傾眠期間の短縮が確認されており、次いで抗てんかん薬のラモトリギンなども選択肢となります。また、発症初期の重症例に対しては、ステロイドパルス療法による免疫抑制が効果を示した症例も蓄積されています。
予後に関して、患者や家族にとって希望となるのが「自然寛解(完治)」の傾向が高い疾患であるという事実です。多くの症例において、発症から8年から12年程度が経過し、年齢が20代後半から30代に進むにつれて発作の間隔が自然と広がり、最終的には発作が完全に消失します。長期的な視点に立ち、寛解期まで患者の社会生活をどう支えるかが治療の肝となります。