黒木瞳の原点は、兵庫県宝塚市にある宝塚歌劇団にあります。1981年に第67期生として入団した彼女は、類まれな美貌と透明感で瞬く間に頭角を現しました。
入団2年目という異例の早さで月組トップ娘役に抜擢され、当時のトップスター・大地真央の相手役として伝説的な黄金コンビを結成。宝塚の歴史に残る熱狂的なブームを巻き起こしました。当時の若い頃の舞台写真やパンフレットの画像は、今見ても息をのむほどの気品と愛らしさに満ちています。
しかし、1985年に大地真央と共に惜しまれつつ宝塚を退団。多くのトップ娘役が舞台やテレビドラマの清楚なヒロイン枠へ進むなか、黒木瞳が選んだのは映画界への単身乗り込みと、前述の『化身』による大胆なイメージチェンジでした。敷かれたレールに甘んじず、表現者としての限界を突破しようとした姿勢こそが、彼女のキャリアを特別なものにした原動力です。