タモリの持つ知的な狂気と、明石家さんまが放つ圧倒的な陽のエネルギー。演出家としての彼は、この全く異なるふたつの個性を完璧に見抜いていた。タモリには敢えて詳細な台本を渡さず、ゲストとの自由なフリートークを生む場を提供した。さんまにはカメラが回っていようがいまいが喋り続ける天性のトークスタイルをそのまま画面に晒させた。
芸能界における才能の「原石」を発掘し、それをきれいに磨くのではなく、その歪さや毒も含めて丸ごと提示する。この演出哲学が、フジテレビを業界のトップへと押し上げる原動力となった。「演者を作為的にコントロールしようとするな。演者が一番面白くなれる居場所を作るのがプロデューサーの仕事だ」。現場に残されたその言葉は、現代のクリエイターにとっても金言と言える。