テレビの世界で培われた演出術は、スクリーンでも遺憾なく発揮されている。日本映画界においても異彩を放つ『マスカレード・ホテル』シリーズは、その最たる例だ。東野圭吾の傑作を原作とした本格ミステリー映画でありながら、華やかな高級ホテルの裏側と、そこに交錯する人間模様を絢爛豪華な映像美で描き切った。
画面の端々に忍ばせた視覚的な伏線、ホテルの廊下を滑らかに移動するダイナミックなカメラワーク。ミステリー映画としての謎解きの快感だけでなく、視覚的な没入感を極限まで高める演出力は、映画監督としての評価を揺るぎないものにした。