戸隠神社五社巡りにおいて、古くからの伝統的な参拝順序は「宝光社 → 火之御子社 → 中社 → 九頭龍社 → 奥社」の順に山を登っていくルートです。神話の序列や神仏習合時代の修験道の道筋に則ったものであり、エネルギーを段階的に高めながら最高峰の奥社を目指す王道コースとされています。
一方で、体力やスケジュールに合わせて柔軟にルートを組み立てることも大切です。現地の実情を踏まえた2大モデルコースを提示します。
1. 【王道の徒歩踏破コース】自然の息吹を五感で味わう(所要時間:約4〜5時間)
各社を結ぶ「神道(かんみち)」と呼ばれる山林の古道を歩くコースです。宝光社から火之御子社までは約15分、火之御子社から中社までは約20分のトレッキングとなります。中社から奥社参道入口までは「神道」または舗装路を約30分歩き、そこから奥社本殿まで片道約40分の参道を登ります。全行程で約8km前後の歩行となり、森林浴と祈りを一体で体験できます。
2. 【車・路線バス併用コース】効率よく体力を配分する(所要時間:約2.5〜3時間)
最も体力消耗を抑えられるのは、長野駅からの路線バスや自家用車で最上部の「奥社駐車場」または「中社」まで先に向かい、奥社・九頭龍社を参拝した後に中社・火之御子社・宝光社へと下りながら巡るルートです。特に高齢者や小さな子ども連れの場合、登りの負荷を減らすことで安全に五社すべてを満喫できます。
奥社参道(杉並木)のリアルな歩行環境
多くの参拝者が息をのむ「奥社参道 杉並木」は、大鳥居から中間地点の「随神門」をくぐった先に現れます。樹齢約400年、約500mにわたって続く巨大なクマスギの並木は国の天然記念物にも指定されており、圧倒的な静寂と神気に包まれます。
ただし、注意すべきは随神門を過ぎてからの後半約500mです。平坦な砂利道から一変し、ゴツゴツとした自然石の階段や傾斜のきつい上り坂が続きます。歩行時間は参道入口から片道約40分、往復で1時間20分以上を要するため、サンダルやヒールでの参拝は非常に危険です。滑りにくいスニーカーやトレッキングシューズを必ず用意してください。