多くのファンに愛されていた人気店がなぜ幕を下ろすことになったのか。その背景には、運営母体である株式会社ダイヤモンドダイニング(現・DDグループ)が直面した外食産業の急激な環境変化と、緻密な経営判断が存在します。
ダイヤモンドダイニングは「アリスのファンタジーレストラン」シリーズをはじめ、洗練されたテーマレストランを全国展開してきたパイオニア企業です。しかし、2020年以降の外食市場全体の縮小に伴い、各企業は固定費削減と不採算部門の整理、および主力業態へのリソース集中を余儀なくされました。
特に「幻想の国のアリス」のようなテーマ型店舗は、以下の構造的な経営課題を抱えていました。
- 莫大な内装維持費・演出コスト:非日常を演出する特殊なギミックや装飾、オリジナル制服の維持には通常の居酒屋・カフェ以上のランニングコストが発生する点。
- リピートサイクルの長期化:「誕生日」「ハロウィン」「特別なイベント」などのハレの日利用が中心となり、日常使い(デイリーユース)のリピート率を上げにくい特性。
- 梅田・茶屋町エリアの賃料負担:梅田屈指の好立地であるD.D.HOUSE内のテナント維持コストと、客足の変動リスク。
関係各所のIR資料や事業報告を総合すると、同社は全国規模で「アリス」ブランドを含むコンセプトレストランの統廃合を推進。その過程で梅田店も役目を終え、戦略的な店舗クローズが下されたというのが真相です。