平家伝来の謎と皇室所蔵の貴重な歴史から、最新のメディア展開まで、小烏丸が放つ求心力は衰えるどころか勢いを増している。多くの歴史ファンを惹きつける最大の要因は、幾重にも重なる「生存のミステリー」と「父性的な神話性」にある。
壇ノ浦の海底に沈んだはずの名刀が、なぜ対馬の地で守り継がれていたのか。果たして現存する刀身は天国が打った真作なのか、あるいは後世の名工による再製なのか。歴史学者や刀剣研究者の間でも議論が尽きない数々の謎は、歴史ロマンを掻き立ててやまない。加えて、千年の時を越えてなお無傷に近い美しさを保ち続ける工芸的完成度が、デジタル時代を生きる現代人の感性を強く揺さぶっている。