1988年に劇場公開された際、本作は宮崎駿監督の『となりのトトロ』との2本立てという、現在では考えられない異例の興行形態で世に出た。生命力に満ち溢れた昭和30年代の日本の自然と子どもたちの輝きを描いた『となりのトトロ』と、終戦直後の絶望と飢餓の中で命を散らしていく兄妹を描いた『火垂るの墓』。この光と影の劇的な対比は、当時の映画観客に計り知れない衝撃を与えた。
興行面では苦戦を強いられたものの、この相反する2作品の同時代公開は、アニメーション産業におけるスタジオジブリの評価を決定づけることとなった。エンターテインメントの極致と、観る者の倫理観を根底から揺さぶる重厚な人間劇。この両輪が揃ってこそ、ジブリというスタジオの真価が示されたと言える。