皇居の秘境「桃華楽堂」ガウディが宿る幻の音楽堂とモザイクの謎を詳しくリサーチ! 読者が気になる トピックの裏側を分かりやすく展開します。

桃華楽堂の前に立った者がまず目を奪われるのは、八角形の外壁を埋め尽くすモザイクタイルアートの圧倒的な存在感だろう。色とりどりの陶片、磁器、ガラスが複雑に組み合わされ、日月星辰や四季の動植物、そして雅楽の楽器が描き出されている。遠目には柔らかなパステル調に見えるが、近づくにつれて無数の破片が放つ生々しい質感と陰影が迫ってくる。

今井兼次は、スペインの奇才アントニ・ガウディの思想を日本にいち早く紹介した先駆者としても知られる。サグラダ・ファミリアやグエル公園に深い感銘を受けた今井は、陶片を集めて壁面を彩る手法を桃華楽堂に持ち込んだ。有田焼や九谷焼、備前焼などの名窯から集められた陶片や信楽の特注タイル。日本の伝統工芸とカタルーニャの有機的な造形美が、皇居の杜で奇跡的な交歓を果たしている。