本作の大きな魅力は、時代ごとにジャンルそのものをダイナミックに変容させる作劇にある。荒涼とした極寒の大地を生き抜く原始的なサバイバルから始まった物語は、中世風の戦乱を経て、現代の学園ドラマ、そして来世編に至って純然たるSFファンタジーへと跳躍した。
大今良時は、サイバーパンク的なガジェットやサイボーグ技術が日常化した社会を舞台に据えながらも、作品の根底に流れる「生と死の重み」を一貫して描き続けている。有機的な細胞変化を繰り返すフシの肉体と、高度に機械化された都市機構のコントラストは、視覚的にも強烈な違和感を放ち、読者を異様な緊張感へと引きずり込む。
肉体的な痛覚を遮断した近未来の人類と、他者の痛みを自らの器に刻み込み続けてきたフシ。両者の断絶を描く筆致は冷徹であり、既存の少年漫画の枠組みを軽々と踏み越えている。