「加熱すれば毒は分解される」という説を信じて調理を続ける人が後を絶たない。しかし、これは命に関わる危険な誤解だ。実験データが示す通り、ソラニンやチャコニンは熱に対して非常に高い化学的安定性を持っている。一般的な煮炊き(約100℃)や油で揚げる調理(約170℃〜180℃)では、毒素の熱分解はほとんど進行しない。
これらの毒素が分解を始める温度は200℃を超え、完全に無害化するには230℃〜285℃以上の極限的な高温で長時間加熱する必要がある。だが、そこまで加熱すれば食材そのものが焦げ焦げの炭と化してしまう。つまり、通常の調理プロセスによって毒を消すことは物理的に不可能である。じゃがいもに蓄積された毒は、熱で無力化するのではなく「調理前に物理的に排除する」ことだけが唯一の防護策となる。